First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
いい成績が取れた日は、春雪が遅くまでバイトしているマックに立ち寄る。

そしてその日、1日の出来事を報告。

春雪は嬉しそうにニコニコ笑いながら聞いてくれて、

「すごいなぁ、いろは!!」

って頭をくしゃくしゃにする。

そのくしゃくしゃが大好きで。

春雪の手の大きさに、びっくりして。

ああ、本当に春雪が好きなんだ、って思ったりする。


ある日、塾の先生から呼び出された。

私は何も心当たりがなくて、少し緊張していた。
先生は担任の先生で、厳しいけれど、笑顔の素敵な女の先生。

「しつれいしまーす」

職員室の先生の席に向かう。

先生は長い髪を一つにしばって、机に向かっていた。

「先生、なんですか」

先生が振り返る。

「ああ、黒川さん。待ってたのよ」

先生はニコニコ。

なんだろう、いつも険しい顔をしてるのに。

「ちょっとこの椅子に座って」

「はい」

チョコン、と私は座る。
「この前の模試の結果なんだけど」

「はい」

「あなた、193位だったでしょ。3100人中」

「はい」

「他の先生たちと相談したんだけど、あなたをS2コースに行かせようと思うの」
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