First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
S2コースとは5つあるクラスの上から2番目のクラスだ。

私は今、上から4番目のクラス。

一気に2クラス上がる。
「本当、ですか?」

「ええ、お母様にも連絡するから」

「わかりました」

冷静を装ったつもりでも内心、信じられないくらい驚いた。

私が、S2に行くなんて。
嘘みたい!!

きっと、春雪と、春雪のあけてくれたピアスホールのおかげだ!!!

私はこの気持ちを早く春雪に伝えたくて授業が終わると、塾を飛び出した。


会いたい、春雪に。

報告して、また笑って欲しい。

「すごいな、いろは!」って髪をくしゃくしゃにして欲しい。

私はこの気持ちが『恋』なんだ、ってすごく思ったんだ。

春雪のバイト先に行くと、他のバイトさんたちとも顔見知りになっていて、声をかけてくれる。

「いろはちゃん、春雪もうすぐ終わるよ」

武井さんという大学生が言った。

「うん、待ってる。報告したいことがあるんだ」
「へぇー、何、教えてよ」

「やーだよ!!武井さん、口軽いんだもん」

武井さんは胸を押さえて、

「今のお言葉、胸に刺さりました」

と苦しげに言った。

他のバイトの人たちがくすくす笑っている。
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