First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜

S4 さよなら

私が春雪と塾の入り口で話していると、校舎から出てきた高校生が、

「あれー、春雪じゃん!!超久しぶりじゃね??」
「おー、桑畑。勉強忙しそうだな」

「ああ、まぁ受験生だからな」

「それもそうだ」

「そういうお前は塾やめて今何してんの?」

「マックでバイト」

「そうかぁ。大変だな」
「まぁ、な」

「金子先生がお前のこと、気にしてたぞ。『春雪が辞めて期待の星がいなくなっちまった』って嘆いてた」

春雪は感情の読み取れない笑みを浮かべて、

「まぁ、そういってもらえるのは嬉しいけどな」
「えっ、春雪、ここの塾に通ってたの?!」

私が口をはさむと、桑畑と呼ばれた高校生は、

「ん、なんだこの子。お前の彼女?」

明らかにバカにしている口調だった。

ムッときたけれど、春雪は、

「まぁ、そんなもんだ」
と言ってくれたのが嬉しくて。

胸が温かくなったんだ。

「じゃ、俺は帰るから」
春雪は私に向かって言った。

「おー、元気で頑張れよ」

「春雪、ありがとう」

「あー、元気でな」

変な春雪。

また明日、会えるのに。
もらったピアスつけて会いに行くのに。

元気でな、なんて。
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