First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
最後のお別れみたいじゃない。


翌日。

朝からしとしとと、冷たい雨が降っていた。

鞄の中にピアスを忍び込ませ、私は塾に向かった。

授業中はそわそわして、何度も怒られた。

会いたい、春雪に会いたい。

それだけを考えていた。

塾が終わって、私は春雪の働くマックへとむかった。

早く、早く、早く!

会いたい、会いたい。

春雪、大好き!!

心が躍る一方でなんだか胸騒ぎがした。

なんだろう、胸がきりきりと刺されるような痛みがする。

春雪、マックに今日もいるよね?

明日も、あさっても、ずっといるよね?


マックにつくと、トイレでピアスをつけた。

とても大人っぽくて、大満足だった。

さぁ、春雪に会いに行こう。

春雪、私を見たら見違えるかな?

「いろは、大人っぽいじゃん!」って笑ってくれるかな。

春雪、会いにきたよ!


カウンターの中を必死に探した。

春雪の姿なら見違えることもなく、1秒で見つけられる。

それなのに、今日に限って、なぜか姿が見当たらない。

今までそんなことはなかったのに。

なんで春雪はいないんだろう。

私はちらっと目についたので、武井さんに声をかけた。
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