First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
Chap♪3 5years later
「もう、いろはってば遅いよ!何やってんの?!」

「だってぇー。ビューラーで巻いてたらまつげ切れちゃったんだもん」

「ったく、バカなんだから。早くしないと遅刻するよっ!」

駅のトイレで私と紅はメイクをしていた。

紅は手際がいいので、いつも私より先にメイクを終える。

私は、のろのろしているので、いつも紅に怒られてしまう。

今日もそう。

朝、寝坊して家でメイクをする時間をとれずに、駅まできた。

ノーメイクでも別にいいのだけど、新学期の始まりにノーメイクってのも、なんだか…。

私はビューラーをグッチのポーチの中に放り込むと、先にさっさと行ってしまった紅を追いかけた。

紅は歩くのが早い。

追いかけるのはいつも大変な体力と筋力が必要だ。

「待ってよー、紅っ!」

私が5年前、中学受験をしたとき、運よく姉たちと同じ中学に入ることができた。

紅も一緒だった。

長い受験生活から解放された私と紅は中学3年間、ろくに勉強もせず、遊びまくった。

ロングの髪も黒から茶色に染めたし、ピアスの穴は6つに増えていた。

彼氏もそれなりにいたし、毎日が楽しかった。

でもそのツケは高校進学のときに回ってきた。
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