First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
「うん、うまく説明できないんだけどね」

「そっかぁ、何か私に力になれることない?」

「うーん、温かく見守ってもらうしかないかな」
紅はわかった、と私の手を握った。

その手が温かくて、私は涙が出そうになった。

春雪の手が恋しいよ。

ギュって抱きしめて欲しいよ。

髪を撫でて欲しい。

そして、できるなら、春雪と一つになりたい。

きっと叶わない夢だろうけど。


私たちが教室で話していると、聞き覚えのある足音が聞こえてきた。

そして教室の中に入ってきた。

私は振り返る。

ああ、やっぱりハルだ。
大好きな、大好きな、私のハル。

駆け寄りたい気持ちをぐっとこらえ、私は視線をそらした。

それを見た紅が春雪に声をかけた。

「井上先生、どうしたんですか」

「ああ、ちょっと教室に落とし物した、っていう生徒がいて」

「落とし物」

「うん、家の鍵らしいんだけど」

「私たちも手伝いましょうか」

「そうしてもらえるとありがたいんだけど」

「わかりました」

私と紅と春雪は3人で鍵を探し始めた。

なんでも鍵にはリボンがついているらしい。
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