First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜
ゆっくり春雪の顔とあきは姉ちゃんの顔が近づく。

私の覚えている、春雪の唇のぬくもりを今はあきは姉ちゃんが感じているんだ。

私は悔しくて悔しくて、窓から離れ、ベッドに寝転がると、声を殺して泣いた。

春雪が恋しくて泣いた。
泣いて泣いて、泣いたまま夜が更けていった。


3日後。

いよいよ中間テストが始まった。

私はあきは姉ちゃんと春雪がキスしているところを見てしまった日から、勉強がますます手につかなくなっていた。

深夜まで机に向かってはいるけれど、何一つ頭に入ってこない。

春雪のもっている国語だけでも頑張ろうかな、と思ったけれど、そのたびにあのキスの場面が頭に浮かんできて、私の思考を邪魔する。

もう消えて欲しい、あんな場面。

思い出したくもないのに。

そう思うけど、運命って残酷で。

よりによって試験1日目が春雪の国語。

教師がテスト中教室を回って質問を受けるのが私の学校の慣例だ。

案の定、春雪が回ってきた。

春雪は教卓に立つと、試験問題のミスを訂正して、質問は、と声をかけた。

誰も春雪のほうを見ない。

みんな試験に集中しているようだった。
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