理想の彼氏


当日―…

彰を客席に見つけると、
緊張がすごかった

始まると、感情移入して
自分なりにも
よく出来たと思う

終わって、皆で
打ち上げに行こう
という事になって
準備をしていると、
隼人が会いに来た

『えっ、何?』

教室に会いに来たのに
驚いて質問すると、
優しく笑って

「人魚姫、良かったよ」

それだけ言って
帰って行った

それだけ……?

不思議に思って
ぼんやりしていると、
有紗に肩を叩かれた

「ねぇ!やっぱ
隼人君いいよ~!
劇も前の方に座って
奈々だけ見てるし、
今もあれだけ言いに
わざわざ会いに
来たとかさ♪」

『……………………』

隼人の優しさに少し
惹かれてる自分が嫌だ
私には彰がいる

彰にない物は
隼人が持っていて、
隼人にない物を
彰が持っている

だからどっち?って
言われても困るよ…



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