理想の彼氏


教室に戻ると、
奈々が走ってきた

『有紗…っ』

いつもは口が悪くて
男勝りで前向きなのに
凄く不安気な顔で
私に抱き着いた

『有紗~考えても
やっぱり意味
分かんないよ…
どうして隼人君が
出てくるの?』

隼人という言葉に
ドキッとした

「…それは………」

『それは?』

「…ううん、私も
分かんない」

…それは、
奈々が牧野君に
少しずつ、自分でも
分からないくらいだけど
惹かれてるからだよ。

彰さんはきっとそれに
気づいたんだろう

今、目の前にいる奈々が
隼人と付き合ったら…
そう思ったらやっぱり
彰さんのとこに
戻って欲しい

だけど、そうすれば
隼人は落ち込む
そんなのは見たくない…
皆が幸せになれる
恋愛など、この世に
ないのだろうか…


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