理想の彼氏


ドキッとした
胸の音を隠して、
隼人に近づいた

足音に気付いた隼人は
ゆっくりこっちを見て
私と目が合うと
優しく笑った

「それで……
なんだった?」

『…私、今彰と
距離置いてるの』

隼人は驚いた顔をして
なんで?と聞いてきた

『守りたい人は
本当に俺か?…って』

「守りたい人?」

『でも私分からなくて。
隼人君には隼人君の
良さがあって、正直
ドキッとさせられる。
だけど、彰と距離置いて
凄く寂しいのも本当。
だから自分でも
守りたい人が
分からない』

「…………………」

黙り込んでしまった
隼人君をぼんやり
見ていると、急に
顔を上げて私を見た

「……本当ごめん」

『えっ?』

凄く悲しい顔をして
謝ってきたので
声が裏返ってしまった‥


< 80 / 96 >

この作品をシェア

pagetop