血だまりの少女
ナイフとフォークを使う食事など庶民にはご縁が無い為、テーブルマナーなど知っている事の方が少ない。
この屋敷で暮らしていた日記の持ち主は、幼い頃から色々なマナーについて教わっていたのだろう。
育ちは良いのだろうが、子供らしい事はあまりさせてもらえなかったのかもしれないと、勝手な想像をして哀れに思った。
きっと日記に出てくる友達が唯一、素の姿で遊べた相手なのだろう。
「そっちの本は何が書かれてた?」
まだページをめくっている赤野に問う。
「花の図鑑」
ほら、と開いていたページを見せてくれた。
大きな写真が載っていて、細かく説明が書かれていた。
花言葉まで記載されている。