血だまりの少女
「ちょっと、貸して」
私が読んでいた本と交換をして、赤野から図鑑を受け取り、黒バラについて調べてみることにした。
索引で黒バラのページを探すと【黒真珠】【ノワール】【ルイ14世】など、黒バラにもいくつかの種類があるようだ。
だが、索引の品種名だけでは分からないので、黒バラの先頭ページである【黒真珠】から順番に調べていく事にした。
【黒真珠】
日本を代表するビロード系の黒バラ。
ビロードというのは『ふさふさした毛』という意味で、バラでは花びらの質感の表現として『なめらか』『艶やか』などを示す。
黒真珠の写真は、無知の私が見ても綺麗だと思うが『黒』ではない。
この屋敷の庭や花瓶に挿さっている黒バラは真っ黒なのだ。
ページをめくり『ノワール』の写真を見つめる。
「これも違うわ……」
黒っぽい赤なのだ。