血だまりの少女
次のページの【オクラホマ】【パパメイアン】【真夜】も同様に『黒っぽい赤』であった。
更にページをめくり【ルイ14世】の写真の下に並ぶ文字に目を走らせる。
『バラの中で最も黒に近いバラと言われ、秋が深まる頃には、より黒みを強める。香りが強い芳香種でもある』
確かに図鑑に載っている秋の【ルイ14世】は他の品種に比べて黒に近かった。
だが、やはり、ここに咲く黒バラとは違っていた。
それに香りも無い。
「赤野君、黒バラについて知ってる事ない?」
図鑑を閉じて、既にテーブルマナーの本を本棚にしまっていた赤野を見る。
「興味無いからさ、花についてなんて基本的な知識はあるけど、黒バラって言われると……」
頭が良くても、勉強以外の事は、興味の範囲でなければ知らないようだ。