血だまりの少女
見上げれば4階部分の壁や赤い屋根にまでツルが伸びていた。
近付いてよく見てみると、小さな棘が生えているのが分かった。
ツルではなく、イバラだ。
根元はどこかと、イバラを目で追って行くと地面に黒いバラを咲かせていた。
木々に囲まれているせいで、日陰に咲く黒いバラに気が付かなかった。
しゃがみ込み、近くで黒いバラを見つめる。
他にも花が咲いていたのだろうが、他の花を刺し殺す様にイバラが巻き付き、黒いバラ以外の花は全て枯れていた。
花は私だけで良いと言いたいのか、他の花から栄養を奪い取っているのか、枯れた花の近くには一際大きな黒いバラが咲いていた。
ゾッとしたのはほんの一瞬で、俺は立ち上がり大きく咲いた黒いバラを踏み潰した。
特に意味は無い。
足を上げると、黒いバラは花びらや茎が折れて地面の上に広がっていた。
カチッ……
どこかでカギの開く音がした。