血だまりの少女
「赤くなってるけど、血は出てないよ。ただ冷やせないから、腫れちゃうね」
「いてぇ……これ?落ちてきたの……」
赤野の側に落ちている緑色の分厚い本を拾い上げる。
「何の本?」
声を掛けると、赤野は私に分厚い本を突き出した。
「ムカつくから、俺は読まない」
よほど頭に直撃したのが痛かったのだろう。
眉を寄せ、瞳には分厚い本に対しての怒りが宿っていた。
受け取った分厚い本は背表紙や、前も後ろにも文字は書かれていなかった。
これではどちらが表紙か分からない。