血だまりの少女

『今日はまたカギをワイングラスの中に入れていました。
グラスを傾けると唇の先に異物感を覚え、まただ、と思いました。
この前は私のカエルが隠されていてしまいました。お嬢様の寝室を掃除していた時にクローゼットの中から出てきた時はため息が出ました』

先ほど赤野が発見したカエルの事だとすると、何処かのワイングラスにはカギが入っているかもしれない。

「そのカエルは、この日誌を書いた人の物みたい」

私は見開きにしたカエルの文章を指差して、二人に見せる。

「ワイングラスは下の食堂にあったよね」

赤野が文章に目を走らせてから私を見た。

私はその言葉に頷き、一階の食堂にあった大きなテーブルの上の状態を思い出す。

何も載っていない綺麗なお皿に未使用のフォークやスプーンやナイフが、お皿の両端に並べられていた。

色の付いたワインボトルや赤ワインが注がれたワイングラスがあったのを思い出す。

「食堂に行ってみましょう。きっと赤い扉のカギよ」

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