血だまりの少女
そう言った二宮の手には火の点いたタバコが細く白い煙を出していた。
二宮は眉をハの字にして苦笑いを浮かべ、携帯用灰皿をポケットから取り出した。
「良いわよ、吸っても。私の電話で待たせたからね」
「いや、大丈夫ッス。もともとそんな吸うつもり無かったんで」
そう言って二宮は地面でタバコの火を揉み消し、携帯用灰皿に捨てた。
「先輩……本当に、ここに居るんですかね……」
ポケットに携帯用灰皿をしまいながら二宮は森の入り口を見て、顔を青くしていた。
入り口と言っても、木と木の間が他より広いだけで正式な入り口が設けられているわけではない。
「自己中な母親がここに居るなんて言うから、居なかった事を確認しなきゃいけないでしょ……」
ため息混じりにそう言いながら、大きく育った木々を見上げる。