血だまりの少女
「クマとか出ませんかね……2人だけじゃ危険じゃないですか……?」
「何かと事件や事故に巻き込まれやすい未成年だから早く見つけなきゃいけないんだけど、今朝までの報告書を見る限り、未成年に関する事件も事故も無いのよ」
ため息をついて、言葉を区切る。
「……それにあの自己中な母親。その2点から上も私も家出なんじゃないかって。それで最小限の人数“とりあえず”捜索することになったの」
17歳の思春期真っ盛りの男の子なのだから、家出のひとつやふたつ、あり得る話だ。
「さっ!行くわよ」
歩き出すと、その後ろで二宮は森に入るのを躊躇っていた。
「おろしたてなんスよね……」
二宮はダークグレーの生地に黒いハートやスペードなどトランプを連想させる小さな柄が散りばめられたスーツを心配そうに見下ろしていた。
「そんな派手なスーツを仕事で来てこなきゃいいのよ」
「え?小さいハートとかの絵柄だし、俺の中では結構地味な方だと思うんスけどね」