血だまりの少女
《1》
恐怖音が消えて静かになった部屋で、二人の荒い呼吸の音だけが聞こえる。
扉を突き破って入って来た甲冑は、私たちが青い扉の向こうに消えると、その青い扉には体当たりせずに居なくなってしまった。
だが遠くの方では、まだ甲冑の小さな足音が聞こえる。
「はぁ……はぁ……死ぬかと思った……」
赤野はヘナヘナと座り込み、目を瞑って天井を見上げた。
「この部屋があって良かったわ……」
私も目を瞑ってその場に座り込み、扉に背中をあずけた。
目を瞑ると鼓動の音が体内に響く。
「ってか……こんな部屋無かったよね?扉を見た記憶がないんだけど……」
「カギが開く前に何か重たい物が擦れる音がしたじゃない?それ、この部屋のクローゼットが動いた音だったのよ」