血だまりの少女
机の上にはバラの刻印が彫られた表紙の日記が置いてあった。
私は机の前の椅子に座り、その隣に赤野が立って開いた日記を覗き込む。
『じぃにおこられた。
おいかけられるほど、おこられたのははじめてだったけど、楽しかった!
そしたらけしょう室に見たことないドアがあって!
じぃがおいかけて来ない間に中に入ったら上に行けるハシゴがあったの!
ひさしぶりにワクワクした!
早く教えてあげたいな!
きっとびっくりするだろうな!
いつ……会いに来てくれるのかな』
やはり三階に行けるようだ。
狭い部屋には机と椅子の他に何もないので、縄ばしごを使って三階へ行くことにした。
日記を閉じて、縄ばしごの先の天井を見つめた。
「耐久性は大丈夫かな……」
赤野が縄ばしごの足を掛ける木製部分を掴んで下に引っ張ってみる。
麻縄部分がギシギシと軋む音がするが、問題はなさそうだった。
「私が先に行くわ。何があるか分からないし」