血だまりの少女
「なにかしら?」
そこだけ背の低い木々に囲まれ、雑草の生える地面には、2枚の方向を示す看板が打ち付けられた1本の棒が刺さっていた。
上『←……家』
下『……口→』
「何て書いてあるのか読めませんね」
二宮が目を凝らして見てみるが、雨ざらしになった木の板は腐りボロボロで、刻まれた文字は読むことが出来なかった。
おそらく下の看板は『森の出口→』とでも掘られていたのだろう。
矢印は私達が来た方向を示している。
上の看板は誰かの家がこの先にあるという事なのだろうか。
「まだ帰れそうにないわね……二宮」
ちょっとワクワクした気持ちで二宮を見ると、彼は既に諦めた様子だった。