血だまりの少女
「こんなの見つけたら黙って帰れないじゃないですか……どこまでもお供しますよ、先輩」
二宮の言葉に満足をして、私は“誰かの家”を目指して歩き出した。
矢印の方向は草や横に伸びた枝を掻き分ける必要は無かった。
広くなったり、狭くなったりと道幅は均一ではなかったが、分かれ道もなく一本道が続いていた。
足元には赤や黄色の小花が咲いていたのに、気が付くと小花は見当たらなくなっていた。
代わりに鋭いトゲの生えたイバラが地面を這っているのが目立つ様になった。
それが黒バラのイバラだと分かったのは、少し先に蕾を見つけたからだ。
「黒バラなんて初めて見ました」
二宮は足元に咲く黒バラを発見し、しゃがみ込んで観察する。
「そうね。実際には真っ黒じゃないって話を聞いた事あるけど、ここに咲いているのは真っ黒ね」