血だまりの少女

《2》


甲冑の足音が遠くから聞こえるので、目的の部屋の扉を開けて素早く中に入った。

赤野の言っていた通り、テーブルと一輪の黒バラが挿さった花瓶が部屋の中央にあり、その花瓶の隣には指示の書かれた紙が置かれていた。

それ以外にこの部屋には何も無く、他に調べられる所が無いので、私は白い紙を手に取った。

「水なら下の花瓶の部屋に置きっぱなしだったよね?」

「そうね」

私は指示を読み上げる。

【水は私を殺すだけ。私を潤して】

「“私”って黒バラの事だよね」

「“殺す”っていうのは、枯らすって事なのかしら」

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