血だまりの少女
それでも何か無いかと、黒く塗り潰された両目を見つめていると、私はある事に気が付いた。
近付いたり離れたり、色々な角度から真ん中に描かれたイエスの顔を見つめる。
「どうしたの?」
赤野は不思議そうに私を見て首を傾げた。
「ねぇ、高い所にあるから分からなかったけど、目の所、くぼんでるのね」
ロウソクの淡い光では判断出来なかったが、目を凝らしてよく見てみると、黒く塗りつぶされていると思っていた所は、丸く奥に引っ込んでいた。
「え?あ、本当だ。じゃぁさっきの目玉を使うのかな」
「そうみたいね」
だとすれば、この目玉は指示の書かれた白い紙が示すユダにはめ込むのだろうか。
真ん中に座るイエスから目を離し、裏切り者に視線を移す。