血だまりの少女
黒バラの花色は実際には黒みが強い暗紅色らしく、簡単に言えば暗いボルドー。
煤や墨のように真っ黒なバラは存在しないと認識していた。
「……不気味ね」
「ちょッ!そーゆー事言わないで下さいよッ!」
二宮は慌てて立ち上がり、見つめていた黒バラと距離を取る。
それから二宮は再び私の背中に隠れなから歩くようになってしまった。
「悪かったわよ。怖がらせるつもりはなかったの。だからもう少し離れて歩いてくれない?」
「嫌です」
「家が見えてきたわ。誰かにビビってるとこ見られたくないでしょ?」
私の言葉に唸るだけで、返事は返ってこなかった。