血だまりの少女

赤野は花瓶の隣に置かれている【水は私を殺すだけ。私を潤して】と書かれた白い紙を取り、鼻に近付ける。

紙の表面を隅々まで、匂いを嗅ぎ、隠されたヒントを探す。

「どう?匂いする?」

赤野は首を横に振った。

「でもよく見たら一回濡れて乾いたみたいに紙の表面が歪んでる。炙ってみよ」

赤野は花瓶の部屋にあった指示の書かれた白い紙を炙り始めた。

じりじりと文字の下の余白を炙り、焦げ始めたが隠されたヒントは浮き出てこなかった。

「勘違いだったかな……」

赤野は炙る場所を変え、文字の上の余白を炙り続ける。

再びじりじりと焦げる音と臭いが静かな部屋に広がっていく。

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