血だまりの少女
赤野の頭に手を置くわけにはいかないので、目の前の壁に手を付いて体を支える。
「いくわよ?」
「ん」
赤野を心配しながら、ゆっくりと体重を下ろし、右脚も肩に乗せた。
「動くよ」
赤野は右手で私の太ももを押さえ、壁に左手を付いてゆっくりと立ち上がる。
倒れないように、前に体重を掛けて壁に付いた手で体を支え、赤野の負担を減らす。
視界が高くなり、壁に触れていた手を絵画の上に乗せる。
イエスにゆっくりと近付いて行く。
イエスの体に触れられる高さになり、あと少しで顔に手が届くのに体の上昇は止まってしまった。