血だまりの少女
一本道が終わり、景色が変わる。
黒バラが咲き乱れる中心に赤い屋根の家があった。
家と言うより、それはお屋敷の方が似合っている。
白いレンガの壁には黒バラのイバラが張り付いていた。
「人……住んでるんですかね?」
私から離れて屋敷を見上げる二宮が疑問に思うのは無理もない。
こんな森の奥に建つ屋敷に人が住むには、おとぎ話の世界ではないのだから立地が悪い。
だが、屋敷の外観に汚れはなく、雑草が生い茂っているわけでもない。
黒バラとイバラが地面に緑と黒の絨毯を作っているが、誰かがここで生活しているように感じられた。
「廃墟だと思ったけど、誰かが住んでいるなら都合が良いわ」