血だまりの少女
「痛いかもしれないけど、少しだけ我慢してね」
私は左脚の膝も曲げて赤野の肩の上に乗り、ゆっくりと立ち上がって、イエスの顔に触れる。
中腰になると、イエスの顔と自分の顔の高さが平行になった。
ポケットから目玉を取り出し、イエスの左目にその目玉を入れ、続けて右目もはめ込んだ。
目玉はぴったりとはまったが、目玉の半分しか入らなかったので、イエスが驚いて目を丸くしている様な絵になってしまった。
「どう?」
下を向いたままの赤野は心配そうに状況を尋ねて来る。
「ちゃんと入ったんだけど、何も起きないわ」
今までは指示通りに行動すれば何処かの扉のカギが開いたりするのだが、今回は物音一つしない。
私は赤野の肩から降りて、脱ぎ捨てたパンプスを拾い集める。