血だまりの少女

《4》


西の部屋の扉をゆっくり開けると、少しの隙間から異臭が漏れ出して来た。

「うっ……」

咄嗟に鼻を抑えて、扉を閉める。

私の後ろに立っていた赤野も異臭を感じ、顔をしかめる。

部屋に入るのを体が反射的に拒む程の血生臭いニオイ。

カシャ……カシャ……カシャ……

「こんな時に……」

赤野は、階段を登ってくる足音がする南側の見えない階段を見透す様に振り返る。

瞬時に逃げ隠れる場所を探す。

北側の部屋は絵画から飛び出してきたイエスが襲ってくるし、同じ理由で中央のカエルの部屋も逃げ場にはならない。

< 224 / 424 >

この作品をシェア

pagetop