血だまりの少女

東と西は反対側なので、気付かれたとしても、北に居る時よりは時間稼ぎが出来る。

甲冑が東側に来た時には、既に私たちは部屋の中だ。

カシャ……カシャ……カシャ……

甲冑が西側の廊下を歩き始めた。

耳に神経を集中させて、足音で甲冑の位置を特定する。

カシャ……カシャ……カシャ……

甲冑が東側の廊下を半分歩いたところで、私はドアノブを回した。

赤野を部屋に押し込み、私も素早く体を中へ滑り込ませる。

「はぁ……」

扉を閉めて、震える声でため息を吐いた。

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