血だまりの少女
二宮の背中が小さく見えるほど、彼は黒バラを見に、遠くへ行っていた。
すぐに飽きて戻って来るだろうと思い、声は掛けず二宮から視線を外して扉に彫られたバラを見つめる。
初めて見たこの紋章、何か引っかかる。
どこかで見た事があるのかもしれないが、見覚えはない。
事件?新聞?ニュース?漫画?
自問自答をしてみたが、どれも答えは“いいえ”になってしまった。
カチッ……
どこかでカギの開く音がした。
それが目の前の玄関のカギが開いたのだと理解するのに時間は掛からなかった。
「二宮ぁー」