血だまりの少女
「ん?」
再び歩き出した甲冑の足音を聞きながら、疲れの色が見える赤野に視線を向けた。
「さっきの……西の部屋、何があると思う?」
赤野は異臭を思い出したのか、顔をしかめた。
「あの強烈な血の臭いだと、死体が転がっててもおかしくはないわ。死体が無かったとしても血の海になってる事は間違いないわね」
扉の隙間から漏れ出した臭いは、悲惨な殺人現場に漂っている血の臭いと同じだった。
咄嗟に扉を閉めてしまったので、少し見えたであろう床の状況に視線を落とすのを忘れていた。
カシャ……カシャッ
南東の曲がり角、階段の目の前で足音が止まった。
「甲冑が二階に行ったら部屋を出るわよ」