血だまりの少女

眉間に縦ジワを作る赤野を見ると、赤野は網目から露出している白い骨の破片を指差した。

「ん?」

指を差した箇所を、目を凝らしてよく見てみる。

「こ、これは……」

肉に混ざった白い破片は、砕けた骨ではなく、見慣れた人間の奥歯だった。

いったい、何をどうしたら人間がこんな悲惨な有様になってしまうのだろうか。

人間だと認識して、改めて肉の塊を見つめていると、血をたっぷり含んだ紙切れの様な物が肉に埋もれていた。

私は手を伸ばし、その紙切れの様な物を引っ張り出す。

千切れず抜き取れたそれは、紙切れではなく、布切れだった。

「見難いわね……」


< 236 / 424 >

この作品をシェア

pagetop