血だまりの少女

二宮が目の前の残虐な肉の塊だなんて、そんな現実を受け入れられるほど余裕なんて無かった。

こんなのは罠よ。

私たちを混乱させる為の悪趣味な悪戯なんだわ。

「この塊、もしかして……折笠さんの知り合い、なの?」

呼吸が乱れた私を見て、赤野は状況を察したようだ。

「こ、これは……私の相棒、だった男の物なのかも、しれないの……この屋敷に入る前まで一緒だったのよ……」

姿が見えなくなり、名前を呼んでも返事が無かったのは、既に殺されていたからだったのだ。

扉が開き、誘われる様に屋敷に一人で勝手に踏み込んでしまった自分が憎い。

二宮を探していれば、もしかしたら彼は死なずに済んだかもしれない。

こんな、こんな無残な肉の塊になどならなかったかもしれない。

< 238 / 424 >

この作品をシェア

pagetop