血だまりの少女
二宮が目の前の残虐な肉の塊だなんて、そんな現実を受け入れられるほど余裕なんて無かった。
こんなのは罠よ。
私たちを混乱させる為の悪趣味な悪戯なんだわ。
「この塊、もしかして……折笠さんの知り合い、なの?」
呼吸が乱れた私を見て、赤野は状況を察したようだ。
「こ、これは……私の相棒、だった男の物なのかも、しれないの……この屋敷に入る前まで一緒だったのよ……」
姿が見えなくなり、名前を呼んでも返事が無かったのは、既に殺されていたからだったのだ。
扉が開き、誘われる様に屋敷に一人で勝手に踏み込んでしまった自分が憎い。
二宮を探していれば、もしかしたら彼は死なずに済んだかもしれない。
こんな、こんな無残な肉の塊になどならなかったかもしれない。