血だまりの少女
「そんな……二宮、嘘よ……」
屋敷に入った時、外から聞こえた奇妙な呻き声。
二宮が黒バラを見に歩いて行った方向と同じだった。
二宮は得体の知れない化け物に殺されてしまったに違いない。
「私が……私の、せいだわ」
視界がぼやけて温かいものが頬を伝った。
私は二宮の体だった肉の塊を見ていられなくなり、下を向いて涙を流す。
赤野は声を掛けたり心配する仕草など無く、ただ泣いている私を横で見つめていた。
一般的には行動を起こさない赤野は冷たい人間なのかもしれない。
でも今の私には、泣かせてくれている空間が心地良かった。