血だまりの少女

大丈夫には見えない姿に、思わず声が裏返ってしまった。

「あ、痛い箇所は少ないから心配しないで。ほとんど俺の血じゃないから」

言われて自分のスーツにも、同じ様に二宮の血が飛び散っていた事を思い出す。

どうやら赤野は反応が遅れてしまい、私の様に腕で顔を守る事が出来なかったようだ。

ゴシゴシと服の袖で顔を拭うと、右頬に赤い線を発見した。

赤野は切れた右頬に指先で触れ、血が出ているのだと確認すると、それ以上は触れなかった。

目に入らなかったのが不幸中の幸いだ。

赤野が大怪我をしていないと分かり安堵の溜め息を漏らしながら、私と赤野の間に視線を落とす。

中央の丸テーブルの上は血だらけになり、今も赤い雫が床にポタポタと垂れている。

丸テーブルの上の血だまりには、潤いを取り戻した黒バラが二宮の血に浸っていた。

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