血だまりの少女
「持って行くの?」
赤野が不必要な黒バラを手にしている私を見て、不思議そうに首を傾げた。
「……なんとなく、持って行こうと思って」
私は茎を適当な短さになる様に折り、ジャケットの胸ポケットに挿し込んだ。
【黒バラを手に入れた】
花びらに付いた二宮の血が、胸元に染み込んでいく。
赤野にとってはただの不気味な黒バラなのかもしれないが、私は二宮の血で潤った黒バラを放置して先へ進みたくはなかった。
二宮の命が、この黒バラに続いている様な気がしてならなかったのだ。
「さぁ、黒い扉を開けに行きましょ」
廊下の安全を確認してから私たちは部屋を出て、倉庫錠の掛かった黒い扉の前に立った。