血だまりの少女
「いつから持ってたの?」
私は破れたスーツのジャケットを脱ぎ捨て、左肩を見る。
白いワイシャツに溢れ出た血が染み込み、肘の所まで赤く染まっていた。
「後ろから抱きしめた時」
赤野の言葉に、ワイシャツの破れた部分に伸ばした手を止める。
赤野を見ると床に落としたハンカチとナイフを拾い上げていた。
「手首切っちゃうかと思ってね。保険でナイフは拝借しておいたんだ」
悪びれもせず口を動かし、赤野はハンカチをナイフに巻き付けながらチラリと私を見た。
私は目が合う前に赤野から視線を外し、破れたワイシャツをめくった。
肩の皮膚は裂けて肉は抉れ、肩の肉は少ないので溢れ出ている血で見えないが、きっと骨が露出しているだろう。