血だまりの少女
私は脱ぎ捨てたスーツのジャケットを左足で踏み付け、肩の破れた所に右手の人差し指と中指を差し込み、一気に引き裂いた。
もいだ袖を更に足で押さえて引き裂き、長細い布切れを作る。
拳銃を抜き取り背中側のウエストに差し込むと、肩と腰に巻いたホルスターのベルトを外して床に投げ捨てた。
ワイシャツを脱ごうとボタンに手を掛けたが、その手を止めて赤野を見た。
「インナー着てる?」
目が合った赤野に問われ、キャミソールを着ていたので頷くと赤野がナイフを背中側のウエストに差し込み、私に歩み寄って来た。
「後ろ向いててもらえないかしら?」
困った様に眉を寄せると、赤野は私の手から布切れを取り上げた。
「俺が巻いてあげる。自分じゃやりにくいでしょ?」
「あ、ありがと……」
自分の肩の手当てが難しいのは事実なので素直に礼は言ったが、赤野が手当てなど出来るのだろうか。