血だまりの少女

トゲがスラックスの布を突き破り、膝から下の皮膚に突き刺さる。

痛いと思った時には、既にスラックスに血のシミが付いていた。

無理矢理脚を引っ張ったせいで、肉が裂けてしまったようだ。

『二宮ぁー』

先輩の声が聞こえて助かったと思った。

「せッ」

大きな声で呼ぼうとすると、顔の下半分が痛み出し、声が出せなくなってしまった。

それがイバラのせいだと分かったのは、植物の青臭さと口の中に鉄臭い血の味が広がったからだ。

イバラは蛇がカエルを殺すように、顔や右脚をゆっくりと締め付けてくる。

動く度、柔らかい皮膚や肉が裂けて血が流れ出す。

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