血だまりの少女
『だから……だから今日も……あれ、私はいつ、やねから下りたんだっけ?……それにここはどこなの?』
少女はようやく自分の記憶が途切れている事に気が付き、眉を寄せる。
『心配しないで。大丈夫だから』
妖精は綺麗な声で優しく少女をあやす。
『ほんと……?』
少女は潤んだ瞳で妖精を見上げる。
『本当よ。嘘は吐かないわ。貴方は一人じゃないんだから泣かないで。私が傍に居るわ』
妖精は指の腹で少女の長いまつ毛が生え揃う瞼を優しく撫でて涙を拭った。
『ずっと、そばにいてくれるの?』
“傍に居る”それは少女にとって、とても魅力的な言葉と同時に信用性の無い言葉だった。
少女は期待と不安の入り混じった瞳で妖精を見上げた。
『もちろんよ。心配しないで』
少女は妖精が頷いたのを見て、とても喜んだ。
『わかった!』
『良い子ね』