血だまりの少女

子猫は森に入って来た少女を見て、嬉しそうに鳴いた。

森の入り口と言っても他より木と木の間が広いだけで、人の手が加えられた道ではなかった。

木の根元に生えた雑草が、ワンピースを着た少女の生脚を撫でる。

その度に少女はゾワゾワと鳥肌を立てて、気持ち悪いと思った。

今すぐ引き返したいと考えたが、ヘアゴムは親友とお揃いなので、失くしたら嫌われてしまうと思い、少女は我慢して子猫の元まで歩いた。

『もうちょっと……』

少女はゆっくりと子猫に歩み寄った。

ミャァ~……

だが子猫はあと少しの所で、また逃げてしまった。

『あッ!もう!かえしてってばッ!!』




< 301 / 424 >

この作品をシェア

pagetop