血だまりの少女

「んぐぐッ!?」

俺は目の前の光景に瞬きを忘れた。

どこから現れたのか、いつからそこに咲いていたのか。

常識では考えられない大きさの、巨大な黒バラが咲いていた。

太い茎で巨大な花頭を支え、イバラは近くの木々や屋敷の壁に張り付いている。

花の中央には雄しべや雌しべは無く、代わりに牙の生えた口があった。

ギェェエエエッ ギェェェエエエッ

口から血生臭いヨダレを垂らしながらバケモノは呻く。

口を開閉し、ガチガチと歯音を立てる。

某ゲームキャラクターの、赤と白の花のモンスターの様な可愛らしさは全く無い。

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