血だまりの少女
《3》
ヌルヌルとした血生臭い暗闇で、私は仰向けで倒れていた。
目を開けているが、何も見えない。
幼い頃の記憶から成る夢を見ていたのかと思ったが、まだ夢の中なのかもしれない。
いつから寝ていたのか思い出そうとすると、最後の記憶は幸せな夢が見られる様な温かな空間ではなかった事に気が付く。
私は巨大な黒バラのバケモノに食われたのだ。
だから私は既に死んでいて、ここは今まで信じていなかった“あの世”なのかもしれない。
「……地獄かしらね」
私は起き上がる為に、両腕を動かした。
「イッ……たァ……」
ズキズキと左肩が痛んだ。