血だまりの少女
巨大な黒バラの残骸を通り過ぎ、屋敷の角を右に曲がる。
「はぁ……」
目の前の景色に、二人の溜め息が重なった。
言葉を交わさないまま、トゲだらけのイバラで出来た高い壁を見上げる。
「屋敷の裏側からは出られないのかしら……」
私は頭を掻きながら辺りを見回す。
「屋敷の中は、裏庭に繋がる扉以外、進めそうな所は見てないよ。だからここに来たのは間違いじゃないと思うんだけど……」
赤野は腕を組みながら屋敷の内部を思い出しているのか、左上に視線を向けて唸っている。
「他に進めそうな所は……」
赤野に背を向け、来た道を戻るが、巨大な黒バラの散らばった残骸以外は何も無い。