血だまりの少女
でもそれは忘れてしまうほど遠い、何十年も前の話で、私はとっくに成人を越えている。
だが大人になった私に対して、白い少女は記憶と同じ幼い姿のままだった。
「嬉しくないの?」
こちらに危害を加える気配の無いバケモノは、白い少女の顔を覗き込む。
「ミヤビのお願いが叶ったのよ?」
白い少女は、私の記憶と同じ名前のようだ。
ミヤビは真顔でバケモノを見上げる。
「ほんと……?」
ミヤビは初めて口を開く。
透き通ったか細い声は、不安に満ちていた。