血だまりの少女
「警察よ。お母さんから捜索願が出てるわ」
母親が息子を疑っ調査を依頼したと知ったら、親子関係が危うくなると思い、行方不明者捜索として話を進める事にした。
だが、隠れる場所を探していたのだろうから、家出をすること自体は時間の問題だっただろう。
「もぉバレちゃったのか。あー……俺の部屋に入ったな母さん。気付かれないと思ったんだけどな」
母親の行動を想像して、嫌そうに眉を寄せる赤野を見て、普通の男の子だなと思った。
「気付かれないわけないでしょ?」
腰を摩りながら立ち上がり、スーツに付いた埃を手で払い落とす。
「扉越しに母さんは色々言ってきても、俺はシカトしてたし。部屋に入って来る事はなかったから、居ても居なくてもバレないと思ったんだけど。靴だって、ホラ」
赤野の履いているスニーカーは真新しい物だった。
気付かれない様、外に出た痕跡は消して来たようだが、今回はその小細工が隠れて何処かへ行っている証拠となり、裏目に出てしまった。
「何で家出なんかしたの」
おそらく口煩い母親が嫌になったのだろうが、一応仕事なので理由を問う。