血だまりの少女

赤野が読み上げ、私が花瓶の中を確認すると、水は一滴も入っていなかった。

「花瓶はテーブルに固定されてるわ」

花瓶に水源から直接注ぐのではなく、どこからか水を持って来なくてはならないようだ。

「あのクローゼットの中に入ってないかな?」

赤野が指差す。

「そこに水が入っているとは思えないけど、水を入れる空き瓶くらいは入っててほしいわね」

クローゼットの扉に両手を伸ばし、取っ手を掴む。

「開けるよ?」

私は赤野の背後に移動し、後ろから様子を伺うことにした。

「良いわよ」

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