血だまりの少女
材料を計っている時は不安だったが、作り始めたら幼い頃の記憶と重なって、迷う事なく手が動いていた。
「ねぇ……」
オーブンの前に立つ赤野が拗ねる様な、声で私を呼んだ。
「オーブンの使い方、分からないんだけど……」
助けを求めるのが恥ずかしいのだろう。
頭が良くても、心は子供なのだと思うと、可愛く見える。
「どれ?」
赤野の隣に立ち、オーブンを見つめる。
「なにこれ」
ボタンはいくつかあるのだが、表示が無いのでどのボタンが何の役割なのかが分からなかった。